旭化成建材のくい打ちデータ転用問題

さて、旭化成建材のくい打ちデータ転用問題について

報道された情報から想像するとおそらくくい打ち工事の際に必要な深さまで到達しないにもかかわらず、くいの延長をすることなく、資料の改ざんでごまかしてしまったということなのでしょう。確かに実際の強度を確保しないで工事を完了させてしまったのは言語道断ですし、問題のマンションを建て替えざるを得ないのも当然です。一方で問題を起こしたのが旭化成という大企業の子会社というのはマンションの所有者にとっては不幸中の幸いであったように思います。

いろいろ考えてみました。
もし、今回の問題を起こしたのが旭化成の子会社でなく、中小企業であったらどうでしょか?数百世帯のマンションを建て替える財務的な体力は無いでしょう。
その場合、責任は建築会社にいくことになるでしょう。
今回の問題の建築会社は三井住友建設。こちらも大企業ですから仮にくい打ち作業の担当会社に財務的な能力がなければ対応は可能でしょう。
さらに、仮に建築会社も経済的に負担する能力がなければ最後はディベロッパーの三井不動産レジデンシャルが補償することになるでしょう。

ここで思い出すのが10年近く前の「耐震偽装事件」です。
今回の報道の中でも一部取り上げられていましたが、結局強度の足りないマンションの責任はディベロッパーや建築士にあったとしてもそれらの責任者に補償する能力がなければ結局所有者が自己負担で建て替えざるを得ないという現実です。
「耐震偽装事件」やその後のリーマンショックでマンション業界が大手の寡占状態になってしまったのにはこのような背景もあると思います。

今回、旭化成建材の調査によって、「強度不足」かどうかはともかくとして、資料の使いまわしのような事実は多々あったように思います。
報道内容からの想像ですが、たとえば….
現場でくい打ちを行いながら数値を確認する。
数値がOKなのでそのまま作業を進めて正常に終了。
 さて、記録を確認と思ったときに、本来データが記録されているテープが紙切れやインク切れで見えない…
 仕方ないので、他のデータを転用して作業報告を作成…..
なんてことが現場では日常的なんて可能性もあるのではと考えてしまいます。

旭化成建材だけでなく、もし、日本中の建築現場でそのようなことが起きていたら、今回の事件の広がりによっては、関係する中小の企業が巻き込まれてより大きな問題に発展してしまうのではと気にしています。
国交省、政治家、マスコミ、いずれも自分だけ「いい者」であろうとすると予期せぬ規模の話になってしまうかもしれません。